巷の電子ガジェット好きの間では、もうiPadの話題で持ちきりですね!
iPadの楽しみ方には色んな切り口があるんだろうけど、その中でも電子書籍リーダーとしての役割に対する期待は、どうやら一番大きなものがありそうです。Palmユーザー(既に使ってない人も含めて)はもう10年以上前から電子書籍に馴れ親しんでるので、電子書籍が今度こそホントのホントにブレイクするのかぁと感慨深くもあり、あの頃のPalmOSデバイスや他のPDAでブレイクできなかったことが悔しくもあり。そんな気持ちで、ここ10年ちょっとの間の電子書籍の動きを、Palmユーザーの目線で追ってみたいと思います。
アメリカでPalmがブレイクした当初から、Palm用の電子書籍スタンダードとして「Aportis Doc」というリーダーアプリとその専用形式が存在してました。その後Palmの事実上の標準形式になり、有償コンテンツも多数登場してアメリカでもそこそこ普及しました。(と言っても、需要は限定的で今のような状況には程遠かったんですが) 日本でもその形式&テキスト形式を読めるリーダーが幾つも出てきて、日本のPalmユーザーの間でも早くから電子書籍が認知されてたのです。
日本で何をもって電子書籍の始まりとするかは議論の余地がありますが、一つのジャンルとして認識されるようになったのは「青空文庫」の登場辺りからだと思ってます。その青空文庫がスタートした1997年は、ボクがPalmPilotProを入手して、本格的にPDAマニアの道を歩み始めた年でもあり。日本での電子書籍リーダーとしては、山田達司さんの「J-Doc Reader 」が早くからリリースされてて、ボクは今でも現役バリバリで使ってます。まだネット環境がそれほど充実していなかった頃は、青空文庫上のタイトルをDoc形式に変換したものが収録されたCDが人気を博したものです。
但し、みんながみんなそれでガンガン読んでたかというと・・・実はそうでもなかったのかもしれない。当初の160*160ディスプレイで表示されるフォントは、その制約の中では良く認識は出来てたけど決して読み易いと言えるわけではなかったし、320*320とか320*480の高解像度になっても、そのフォントの小ささ故に『やっぱ無理ぃー!』と諦める人も多かった。特に老眼気味の人にとっては厳しかったんでしょうねぇ。
ボクは、幸いにも老眼ではなく、小さな文字を読むことにはまったく抵抗無し。画面をスクロールして読むことにも抵抗はなく、ある程度読み慣れてくると、Palmのディスプレイで読む方がすいすいと頭に入ってくるようになりました。こうなってくると、色んな読み物を求めてネット上を彷徨うようになります。
当然青空文庫は彷徨い倒しました。といっても、大作家の著作権切れ作品にはあんまり食指が伸びず。現代の、決して有名ではないけどとか、プロの作家さんではないけどとか、でも進取の気象を持って意欲的な作品を発表してた作家の方々の秀作を読み漁ってました。
佐野良二さん「われらリフター」「五味氏の宝物」etc、植松眞人さん「神さんが降りてきた」シリーズ、豊田勇造さん「歌旅日記」シリーズ、なんかを何度も繰り返し読んだものです。
そんな中でも、畑仲哲雄さんの「スレイブ」って作品は特に大好きで、今でもたまに読み返します。HP100・200LXをモチーフにしたコミカルでシニカルな内容は、当時の‘その辺りのこと’を知る人は思わずニヤリとしてしまう作品。著作権を軽んじはしないけど、一方で「世の中みんなコピーの産物」っていう割り切りも必要だよと、有象無象がなんでもかんでも著作権著作権と叫ぶことってバカくさいでしょと、笑い飛ばしてる姿勢には、今でも深く共感します。
(つづく)
0 件のコメント:
コメントを投稿