2010年5月14日金曜日

電子書籍とPalmを巡る10年(2)

1999年、PalmVがアメリカで爆発的に売れて『なんかカッコイイ!』と日本でも大ブレイクしてたのが2000~2002年くらい。本家のPalmブランド以外にも、WorkPad(IBM)、Visor(HandSpring)、CLIE(SONY)、etc大資本やベンチャーも参入しての繚乱状態となり、Palmは今のiPhone・・・とまではいかないまでも、デジタルデバイスの先頭を走ってました。

他方、電子書籍業界?では、日本の出版社も電子書籍を煙たがったままにしておくわけにもいかず、重い腰を上げだします。それまでは個別でおっかなびっくり電子書籍に取り組んでいた大手出版社が、2000年に「電子文庫出版社会」という組織を作り「電子文庫パブリ」をスタートしました。

『有償でもいいから、‘今’のタイトルを電子書籍で読みたい!』と熱望してた者にとって、やっと光明が見え始めたんですよね!最新タイトルが即リリースされるような状況には程遠かったけど、人気作家の‘ちょっと前の’タイトルが毎月コンスタントにリリースされるようになったのは大きな進歩でした。

フォーマットに関しては、当初はテキスト形式が多かったものの、その後簡易な著作権保護機能を有した新たなフォーマット「ドットブック形式」(ボイジャー社推進)が主流になり、更にシャープが推進する「XMDF形式」も追随して、有償コンテンツが着実に増加し始めました。

このような状況を受けて、Palmの電子書籍リーダーにも進化したものが登場します。2002年に、ドットブック形式をサポート(PC変換で一手間掛けなきゃいけませんが・・・)した「PooK」が登場。XMDF形式リーダー「ブンコビューワ」のPalm版(こちらも要PC変換)も時期を同じくして登場し、Palmでの読書環境がどんどん充実していきました。PalmOSデバイスは栄華を極め?、Palmを始めとしたPDAにより電子書籍が本格ブレイクするのも時間の問題!と思ってたんですが・・・

PalmOS陣営は、本家のマーケティングや生産計画等の失敗でケチが付き始め、来るべきモバイル通信時代に適応させようとしたOSのブラッシュアップも思うようにいかず。一方、それまでは単なる通話端末だった携帯電話が、その通信機能を武器にどんどん高機能化するようになっていくと、『PDAと携帯電話ってどこが違うんだろう?』という素朴な疑問が充満するようになり始めます。携帯電話用の電子書籍リーダーが出始めると、特殊ジャンル(エロとかBLとか)を中心にいきなりブレイクし始め、それが一般ジャンルにも広がり始めると、電子書籍市場のターゲットは急速に携帯電話に移りだしました。

そんな流れの中、2001年にハンドスプリングが上陸したと思ったらあっという間に日本から撤退。次いで2002年、まずはIBMがPDA事業から撤退表明。更に本家パームコンピューティングも日本市場から撤退。SONYのCLIEは、これらの撤退後の市場を吸収して大幅に売上を伸ばすも、ジャンルとしてのPDAの翳りを背負うだけの力はなく、最後にTH-55という名機を残して2004年に終焉。

以降は、英語版PalmOS機を日本語化して使うというマニアが、PDAからスマートフォンに生まれ変わったPalmOS機(Treo)をしぶとく使い続けてましたが、それも2008年にiPhoneが登場することで壊滅的な打撃を受けて、PalmOSデバイスユーザーは今や絶滅危惧種となっています。本国アメリカでも、PalmOSスマートフォンの販売は2008年で終了。ふぅ。

ボクは、そんな絶滅危惧種の一個体として、今でもTreo700pで電子書籍を読む毎日ですけどね!

(つづく)

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