ボクが現在メインで使ってる「Nechville」というメーカーの独創的な機構を持ったバンジョー。
この写真の右のがそれです。左は一般的なバンジョーの内側。
バンジョーの白いヘッドは、ドラムと同じプラスティックに白い塗装のコーティングがされたもの。使ってるうちにコーティングが剥がれたり汚れたりして見た目が悪くなるのと、プラスティックといえども張りっぱなしでストレスが掛かり続けてると音が悪くなってくるようなので、昨年の購入以来初めてヘッドを張り替えました。
独創的な機構は、「Heli-Mount Design」と名付けられてます。一般的なバンジョーは、ヘッドの上に輪っかをハメて、それを20数本のブラケットという金具で締め上げます。20数本を均等に締め上げなければいけないので、これがなかなか面倒な作業なんです。この面倒臭さが好きって人も少なからずいるんでしょうけど(^^;、ボクは簡単な方がイイです。
分解の過程を細かく撮っておけば良かったんですが、分解してから思い出して撮り始めました(^^;;;
これがメインのフレーム。
一般的なバンジョーは、こんな立体的なフレームなんかありません。上の輪の部分と下の輪の部分は別の部品になってて、それを繋ぐ縦の部分がブラケットになってます。もうこの時点でかなり変なバンジョーです。
Q:ブラケットを使わず、どうやってヘッドを締めあげるの?
A:ウッドリムの上に大きなオネジの輪っかを乗っけて、メインフレームの内側に切ってあるメネジに噛み合わせて締めます。
と書けば簡単ですが、鍛造?鋳造?どうやって作るのかは分かりませんが、相当に精度の高い工作をしなければいけないと思われます。
メインフレームの内側はこうなってます。
真ん中の横に切られてる溝が、メネジになってます。上のギザギザの部分がギアになってて、ここにT字レンチを引っ掛けてオネジをグルグル回すわけです。
オネジはこれ。
内側の木の輪っかがウッドリムです。直径30cm強の大きなネジで締め上げるって発想は、出なそうで出そうで・・・やっぱ出ないよなぁ(^O^)
但し、この時にちょっと詳しい方ならこういう疑問が湧くでしょう。『ネジで回すときに、トーンリングやヘッドは一緒に回っちゃわないの?』って。
そこがまた大袈裟な・・・いやいや壮大なことになってます。ベアリングです。
これ、トーンリングをひっくり返した状態ですが、はい金属球がぎっしり詰まってます。幾つあるのかは・・・数えてません。下の画像も含めて数えてみてください。
この上に、さっきのオネジを乗っけて締めるのです。実際はどういう作業になるのか?は、ここを御覧ください。上の動画は、今回省いたネックのジョイントの仕方。下の方が、ヘッドの張替です。
さて、ここで再び疑問が湧く方がいらっしゃるでしょう。『トーンリングの中にあんだけ鉄球が詰まってて、鳴りはどうなのよ?』と。はい、そこがこのヘリマウントの最大の問題かと思われます。
正直なところ、Nechvilleの音は「華やかさ」には欠けると思います。その原因は、やはりトーンリングの中に鉄球が詰まっていることなのではないかと。ブルーグラス・バンジョーの世界では、「Old Gibson」「Pre-War Gibson」というのが絶対的な地位を占めています。実際、それは確かに素晴らしい音色なんですよね。金属部品を多用していながらウッディなまろやかさを基調としていて、尚且つキンキンとうるさくない華やかさを併せ持つ。後発のバンジョーメーカー、ビルダーは、程度の差はあれどもOld Gibsonを何かしらのお手本にしてます。
トーンリングは音を決定する一番重要な部品であり、後発メーカーはOld Gibsonのトーンリングを成分分析するくらいです。穴の有無や数にもこだわるくらい重要なのに、その鳴りに相当大きな影響があるであろう空間のかなりの部分を、鉄球の容積で埋めちゃうってのはどうなのよと。Nechvilleが日本でまったくと言っていいほど人気がないのはその辺りなんだろうなぁと。
『じゃぁなんで使ってんの?』はい、そういう音が嫌いじゃないからです!
確かに華やかさはないものの、ウッディという意味ではとってもウッディかも。強いアタックでもキャンキャン言わないところは、逆に御し易い面でもあるんです。今回初めてバラしたくらいなので、まだその特性を完全に活かしたセッティングにはできてないだろうし、もう少し華やかさが出せないかは研究してみたいと思います。なんといっても部品数が少なくて、ヘッドの張替え、ネックの調整等、メンテナンスは楽チン!天候の悪いフェスに持って行っても気になりませんからね(^O^)
ノーマルでも挫折したのに!ウ~ン最高アブノーマル!
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