2011年3月2日水曜日

電子書籍業界水面下の蠕動?

‘蠕動’なんて良いイメージじゃない言葉を敢えて使うのは、まさにそういうイメージに感じられるからなんですが。

大手出版社の寄り合い所帯で構成され、ちょっと前までは電子書籍業界の中心であったと云える「パブリ」ですが、昨年末くらいからきな臭い感じになってきてます。

始まりは、年末に何のアナウンスもなく集英社がPC向け電子書籍の販売を中止したこと。1ヶ月くらいしてやっとこさパブリ上に告知が出ました。実は、その件に関してボクはかなり辛辣な内容のメールを送ったりもしてます。他にどの程度同じような動きがあったのかは分かりませんが、明らかに後手に回った対応であるのは間違いなく、その後も依然としてそのまんまなのは明らかに集英社が何かしら蠢いていると推測されます。

そうこうしているうちに、今度は「講談社がXMDF形式の販売を4月1日の更新をもって終了する」との告知が出ました。今まで、ドットブック形式と共に日本での電子書籍フォーマットの中心であったXMDF形式の販売を中止するというのは、結構刺激的なニュースだと思います。講談社は、副社長が日本電子書籍出版社協会の代表理事を務めてるから余計にですね。

講談社のXMDF販売終了の告知が出たのが2/18。その5日後の2/23に、副社長の野間省伸氏が4月に(実母から世襲して)社長に昇格する旨の発表があったのも、何かしらの関連性があると勘繰らざるを得ません。その発表の席では「デジタル分野と海外事業を強化する」との方針が伝えられています。ここ数年、数十億単位の赤字体質になってた(今期は何とか黒字)のを巻き返そうということなのでしょうが、国内向けのコンテンツを海外で販売することに活路を見出したいようです。

となると、XMDF終了の話にも繋がってきます。日本向けで主流のXMDF形式とドットブック形式ですが、海外ではどちらも通用しないフォーマット。海外向けとなると、EPUB等の海外でも通用するフォーマットを標準に据えたいという選択はある意味自然ともいえます。講談社は、ドットブック形式の推進元であるボイジャーに出資して役員も送り込んでいる関係なので、既存フォーマットとして残すならドットブックということなのでしょう。

まさか一ツ橋と音羽が手を組むことはあり得ないでしょうが、4月までの間に集英社・講談社双方から何かの動きがありそうな雲行きです。

今までは小さ過ぎて影響力は微々たるものではあったけど、永年に亘って電子書籍マーケットを支えてきたユーザーとしては、どちらの出版社も既存ユーザーへの配慮が決定的に欠けてるってことについて、何をかいわんや・・・

補足:イヤな感じを受けてるのは、既存ユーザーになんの説明もなく物事を水面下で進めてるとこですね。特に集英社のやり方にはかなりの怒りを抱いてます。
中間フォーマット化やフォーマットの統合は、基本的には反対しませんが、XMDFやドットブックのタイトルを多数持ってるユーザーが不便にならないように進めて欲しいと思います。ある意味、レガシーになっちゃってるかもしんないけど…